2階に上がると、これまた沢山の食堂屋がひしめき合っていて、店先に各自テーブルをゴチャゴチャ置きまくってコーナーを作り、まさに学園祭の模擬店のようだった。
いろいろ食べ物やツマミが書いてある短冊のような紙がベタベタベタベタそこいら中に貼ってあって、まさに私好みの雰囲気の場所だった。さっきまでサザエで落ち込んでいたが、ハコテンオーラスで国士無双をテンぱった感じになった。やった。
紹介された店のテーブルにつき、早速、オネーサン、オリオン生ビール。
取り敢えず、飲み屋での定番の三枚肉の煮込みを頼む。まぁ、たぶん関東の煮込みとは違うがそんな感じのが来るだろうと思ったら、何やら見たこともない細かいホウレンソウのテンコ盛りの上に厚目にスライスした角煮みたいのが乗っかって出てきた。
「これ、煮込み」と思わず聞いてしまった。
「ソウ、煮込ミヨ」と、標準語じゃない日本語を喋る店員が応えた。
食べてみて、うううッ。
この味この臭い、そうだ思い出したぞ、台湾で良く食べた料理と同じだ。沖縄は本土よりも台湾の方が近いからこれが沖縄の味なのだ、と無理やり納得するように自分に言い聞かせた。でも、やっぱ変だ。
オネーサン、生、もう一丁。
カミさんだけが待望の伊勢エビと一緒に例の鯛らしい刺身がやって来た。「百円ライター」みたいにブ厚く切ってある。その百円ライター風刺身の味は確かに美味かったが、目の前の台湾風料理が気がなった。ちょっと変だ。
オネーサン、生、もう一丁。
できたら待望であって欲しいサザエがやっとやって来た。
醤油だけで焼いて、と注文したから磯の香りがするだろうと思って「醤油みたいな臭い」の汁を飲んで見たら中国風タマリ醤油だった。どちらかと言うとサザエの焼き方はレアかミディアムぐらいが良いのだが、O157が気になるのか、完璧にウエルダンダンダンダンダンダンにしてあって噛みきれなかった。咀嚼力が付いて脳の刺激になったと云う副次的効果はあったが、やっぱ変だ。
オネーサン、生、もう一丁。
人間、幸福感に満たされると他人を思いやれるゆとりができるのか、待望の伊勢エビを食べてご満悦のカミさんは、そんな悲惨な私を見て優しい言葉をかけた。「ケンちゃん、そのサザエの壷焼きでキレたでしょ。何か他のを頼んだら、チャンプルとかもあるよ」
とにかく自分のイメージの違うモノばっかり出て来たので、これで沖縄名物チャンプルなんか頼んだら、アフリカ大コウモリの睾丸串焼きなんかが出てくるかもしれないと思って、刺身のツマを醤油に付けて細々と飲んだ。家に帰りたくなった。
オネーサン、生、もう一丁。
最後にヤケクソで焼飯と書いてある食べ物を頼んだだ。岩塩の大きさの塊の味の素が沢山入っていてガリガリ、ジャリジャリ、は良いとしても、いや本当は良くないが、皿の底になみなみと油が漂っていた。後で気が付いたのだが、標準語ではない日本語は沖縄弁ではなく、店員、調理人みんな中国人なのだ。頼むよ、焼飯は中国が本場でしょ、火力が弱いんだよ。
やっと国士無双テンぱったら対面のピンフのみに振り込んでしまった感じ。やっぱ、最悪。
胃袋的にサティスファクションになったが、精神的にはハートブレーカだったので、生ビール5杯飲んだにもかかわらず、カミさんの制止を振り切って次の飲み屋へ向かった。当然、沖縄居酒屋系は避けてアメリカンスタイルのステーキパブへ。
感動の再会のように、出てきたピザパイとフライドチキンをハイエナのようにむさぼりつき、3杯目のオリオン生ビールまでは覚えていたのだが、気が付いたらホテルのベットの上だった、らしい。
おっと、明日はレンタカーを借りて、ひめゆりに行かなくては。