晩夏

電気シェーバーの音がする
猫は床に影を落とす
床で耳がぴくりと動く
猫の耳がぴくりと動く
洋服タンスを開けて
今年着なかった服を眺める
袖を通したことの無い服は
年を取らずに季節を越える
振り向けば
蒼ざめた表情がドア越しにこちらを見ている
三秒間の凝視の後
洋服タンスを閉める
樟脳の匂いで
蒼ざめた表情はかすんで消える
猫は前足にあごを載せてじっとしている
電気シェーバーの音が突然止む


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