初老の男

「つまらない思いをさせて悪かったね」
男はコーヒーカップに目を落とした
ぼんやりしていただけのわたしは
自分の顔の不機嫌さに気付き
それをはずみに「帰る」と言った
男は通りの店でスカーフを買う
わたしは美容院へ行く時間を計算する
男はスカーフをわたしにくれる
わたしは「楽しうございました」と言い
男はそれでまた傷付く
男は地下鉄で帰って行き
わたしは通りで風船をもらう
美容院へ向かって風船に乗って飛んで行く


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