夜のかなたのベルの音は 海の底からの通信音で 両手をクロールしながら 蒼ざめた受話器に手を伸ばす 「ハロー、いつも馬鹿だね、ありがとう」 海の中では 頭の中だけ喋っていて 相手の言葉は聞こえない それでも 愛の言葉だけ聴きとって 相手がさようならした後も じっと床に座って 受話器を握りしめて 波の音を聴いている