アルハンブラ宮殿とエミリオ

翌日は、グラナダに来て行かない人間はいないであろう、かの有名なアルハンブラ宮殿へ。
訪れるものを千夜一夜の世界へと誘う幻想的な宮殿の中でも、特に王宮にある鍾乳石飾りの天井は必見。イスラムの栄華を感じつつ、町を一望する塔に登る。乾いた風が心地よい。見上げると一面真っ青な空。本当に一点の曇りもないコバルトブルーの空なんだよ。都会のスモッグにまみれた空を見慣れているから、これにはちょっと感動した。そして、白壁の家々が空に映えて町全体を美しくしているんだよね。

後で、香山さんがエミリオに「アンダルシア地方の家は何でみんな白いんですか?」って聞いたら、「それがアンダルシアの色なんだよ」とエミリオが答えた。その町の雰囲気とか色って、気候風土もそうだけど、そこに生きてきた人達の人生や思い入れなど、何百年と積み重ねてきたものが宿るのかなあ、なんて思ったりした。ところが、グラナダの町に見とれていたせいか、僕も犬のウンコを踏んづけてしまった。「もう片方の足でもう一度踏んづけると幸運になれるゾ」と、先生に言われたが、本当なのか?

グラナダ滞在中、エミリオに一人の日本人留学生の女の子を紹介してもらった。彼女の名はトモちゃん。
グラナダには3ヶ月の短期留学で来ていて、現在、エミリオのアパートに下宿中。お父さんが秋田でスペイン料理展をやっているそうで、滞在中は彼女に色々とお世話になった。
ある日、彼女とそのお友達(二人の案内で、グラナダからバスで1時間ぐらいの小さな村、グアハシエラという村に連れて行ってもらった。
観光客(日本人なら尚更)が滅多に来ない所らしく、まるで時が止まったかのような村だった。道行く人に「オラッ!」と挨拶すると、向こうも「オラッ!」と笑顔で返してくれる。写真を撮りながら歩いていたら、小学生ぐらいの男の子3人が自転車で通りすぎた。声をかけたら中国人と間違えられたので、「日本人だっ!」って言ったら、珍しかったのか話し掛けてくれた。
写真を撮って、お互いに自己紹介し、握手して別れた。後でみんなで集まった時、彼らが通りかかり、「アディオス、タカ!」と、まるで友達のように言ってくれたのが嬉しかった。なんて素直で純朴なんだろう。自分の子供時代を思い出してちょっと恥ずかしくなった。小さな村の小さな出来事だったけど、一生忘れられない。

グラナダでは他にも色々な体験をさせてもらった。普通の人は行けない会員制のクラブへ連れて行ってもらい、アルハンブラ宮殿の夜景が綺麗な高台で、飲んだり食事したりして最高だった。またエミリオの自宅にも招待されたが、なんと、プール付きの豪邸で、とにもかくも普通のツアーの旅行では絶対に体験できない事をさせてもらった。
エミリオには100回ありがとうを言っても言い足りないぐらい感謝している。エミリオ、本当にありがとう!ムーチャスグラッシアス!!
ところで、エミリオの自宅では、気合を入れて海パンを持ってきたのでプールに入ったが、心臓マヒを起こしそうになって10秒で出た。だって、寒いしその前にビールやらワインやら飲みまくっているのだもの。とこらが、僕が寒さに震えている横で、トモちゃんは魚のように泳いでいる。ううっ情けない。でも、グラナダに死す、にならなくて本当に良かった良かった。

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グラナダ
セビージャ
小さな旅の終わり


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