1996年の秋、例の女友達からまた電話がかかってきた。
懲りずに浮気のお誘いかなと思っていると、
「ねぇ、子猫要らない」
「ちょっとちょっと、去年もそう言っていなかった。またぁ」
「へへへ、そうなの。歩いていたら1匹の捨て猫を見付けちゃったのよ。夜だし雨降っていたし、つい、分かるでしょ、この気持」
「分かるけれど、こっちの気持も分かってよ。で、また最後に電話してきたんだろ」
「あら、良く分かったわねぇ」
「できたら最初に電話してこいよ。思いっ切り断るから」
「今度は白い子猫の女の子よ。生まれたばかりだし、すごく人なつっこいのよ」
「え、真っ白?」
「ううん、白地にいろいろな模様が入っているの」
「なんじゃそりゃぁ。メチャクチャじぇねぇか」
未だ子供ができなかったところに、輪をかけてネコにハマりまくっていたのかもしれないが、話を聞いていたカミさんのまなざしは強烈な承諾を示していた。
その週末、またまた2000円の菓子折を持って彼女宅にでかけた。
突然のチン入者にロベルトは毒気を吐いていたが、一週間ぐらいで慣れて一緒に寝るようになった。
スペインでは、ペットに友達の名前を付けるのはドヒンシュクなのだが(日本でもそうか)、いつも「ケンはドヒンシュクな日本人だ」と言われまくっているので、気にせず、いや敬意を表し、ホアキンの妹の名前、ルルデにした。
外に出しているロベルトに対し、ルルデは出さないので、非常に家族になつきまくっているのは嬉しいのだが、その分非常に人見知りが激しく、誰かが来ると必ず押し入れとかに隠れてしまう。みんなから幻のネコと呼ばれている。